top of page
不規則脈波検知機能付き自動血圧計

 

 外来患者が診察前に必ず測定する自動血圧計を、不規則脈波(irregular heart beat: IHB)検出機能付きの機器(Heart Station MPV-5400日本光電、以下、IHB検出血圧計)に変更しました。血圧測定中の脈間隔に、平均の脈間隔から±25%以上差のある脈があった場合にIHBとして検出されます。これを外来に2機設置しました。2011年12月から2013年11月までの2年間を調査期間とし、脈不整を検出した患者に対して積極的に心電図検査を行いました。

 これと並行して、この機器の精度を調べるために、2011年12月から2012年5月までの半年間で、AFあるいはPAFの診断で既に抗凝固薬内服中の患者につき、IHB検出血圧計と触診での脈不整の有無を調べました。

検知された無症候性心房細動患者

 

 調査期間2年間にAF新規診断あるいはAF再確認により新規に抗凝固療法が検討・導入されたAF患者は56人でした。この期間における外来診療実人数は、25601人なので、外来通院患者の約0.2%にAFが発見・再認識されたことになります。

 リスク因子の内訳をみると、高齢者が多く、脳梗塞・TIA既往患者は63%に及び、高血圧症は70%に認めていました。

56人の内訳

 

 56人の平均年齢は75.8歳(48〜90歳)で高齢者が多い。男性:女性は36:20であり、男性に多く発見されました。新規受診患者(新患):再来患者(再患)の別では、10:46と再患が極めて多い状況です。過去に不整脈を指摘されたことがある患者が24人(43%)でした。 56人中抗凝固療法が開始されたのは48人(86%)でした。このうち、新規経口抗凝固薬(NOAC: Novel Oral Anticoagulant)が処方されたのは、48人中38人(79%)でした。56人のCHADS2スコアは平均2.9でした。CHADS2 スコアの2点以上が84%を占めていました。抗凝固療法なしの場合は、脳塞栓発症のリスクは高い患者と言えます。

Find AF project : Phase 1

 

 心房細動スクリーニングにつき、ある医師から、脈不整を検知する血圧計を作ってはどうかというアドバイスがありましたが、自作は困難なので、自動血圧計に不規則脈波検知機能のついた既存の機器を使用してのスクリーニングからはじめてみました。この取り組みは2011年12月から「Find AF project」として、当院外来を中心に開始されました。

AFあるいはPAFで抗凝固薬内服中の患者

 

 既にAFあるいはPAFで抗凝固療法を受けている患者につき、IHB検出血圧計の精度調査を半年間行いました。対象は276人で、ほとんどが慢性心房細動患者です。触診で不整があり、すなわちAFであるにも関わらず、IHB検出血圧計で陰性であった患者が25.7%あり、4分の1で、AFによる脈不整をこの機器で見逃していることがわかりました。抗凝固療法中の9.4%においては、IHB検出血圧計、触診いずれも不整なしと判定され、PAF患者と考えられました。

 この結果は、AFスクリーニングにおいて、更に高精度の方法が必要であることを示しています。

【脳卒中 36: 403-408, 2014】

bottom of page