第2回心血管脳卒中学会 2015.5.12
独自開発機器におよる心房細動スクリーニングの試み
聖麗メモリアル病院 岡部 慎一
佐藤 明善 田村 康夫 藤山 陽子 粕谷 泰道 杉山 耕一 布施 仁智
株式会社ネクシモ
山形 勝 片柳 達也
【目的】
心房細動(AF)を主な原因とする心原性脳塞栓症(CE)は、最も重篤な脳梗塞病型であるが、発症前のAF診断およびCE発症予防が充分に行われているとは言えない。当院では2011年より外来診療において無症候性AFを積極的に診断する取り組みを行っている。今回は2014年に行った独自開発機器によるAFスクリーニングについて報告する。
【対象と方法】
当院は脳神経外科単科専門病院であるが、外来では、脳卒中の一次・二次予防を中心に生活習慣病管理などを行っており、年間延べ約4万人の外来患者が受診する。2014年1月から12月までの外来受診患者において、不規則脈波検出機能付きの自動血圧計および脈波解析専用アプリ(pulse analyzer)を使用するシステムでスクリーニングを行い、AF可能性が高いと判定された場合、心電図で確定診断を行った。後者はパルスオキシメーターと7inchタブレットを用い、タブレット内アプリにより脈波間隔の不整程度を計算しAF可能性を判定する機器であり、IT業者と共同で独自に開発した。
【結果】
1年間の受診患者実数17262人のうち54人(0.31%)の無症候性AFを診断できた。触診では全例不整と判定されたが、自動血圧計では、11人が不整を検知できなかった。平均年齢77.2歳、男性67%、再受診患者(再患)は、63%であった。再患の中で、定期的な内服薬処方患者は17人含まれており、ほとんど新規AF発症患者と考えられた。定期的検脈の重要性を示唆している。その他、既知AFで抗凝固なしの患者や、AF存在が未認識の患者などが含まれている。AF確定患者は、循環器科精査後、必要に応じて、抗凝固療法が開始された。
【結論】
Pulse analyzerを用いたAF判定は、感度が高く有用であった。当院では、外来通院患者のCE発症が経年的に減少しており、この取り組みは一定の成果が出ていると考えられた。
※提出抄録とは若干数値が異なることをご了承ください。