日本臨床医療福祉学会 2014.8.30
心原性脳塞栓症患者の抗凝固療法現状と心房細動を外来で見つける取り組み
聖麗メモリアル病院 岡部 慎一
佐藤 明善 田村 康夫 藤山 陽子 粕谷 泰道 杉山 耕一 布施 仁智
【目的】
心房細動(AF)を主な原因とする心原性脳塞栓症(CE)は、発症すると重篤な経過をとることが多いため、発症予防が重要となる。当院で治療したCEの現状と、無症候性AFを外来で発見する取り組みについて報告する。
【対象と方法】
2011〜2013年に当院で経験したCE患者299人の発症前抗凝固療法状況およびその転帰につき調査した。また、当院外来で取り組んでいるAF発見のためのスクリーニング方法の成果を報告する。第1期(2011年12月から2年間)は、不規則脈波(irregular heart beat: IHB)検出機能付きの自動血圧計(以下、IHB検出血圧計)を用いた。第2期(2014年1月〜5月)は、パルスオキシメーターと7inchタブレットを用いて、株式会社ネクシモと共同開発した脈波解析専用アプリ(pulse analyzer)によりAF判定を行った。
【結果】
CE患者入院前の抗凝固療法状況では、27%でのみ経口抗凝固薬が内服されていたが、他は、抗血栓薬なしか、抗血小板薬であった。不整脈が認識されていたのは、3分の1程度であった。退院時mRSは5、6が26%(非心原性は5%)と極めて転帰不良であった。第1期により未治療AFが認識されたのは56人(外来通院患者の約0.2%)であった。第2期においては、4ヵ月間で、29例無症候性AFを検知することができ、pulse analyzerは感度・特異度ともに高かった。
【結語】
CE発症患者は極めて予後不良であった。予防のための抗凝固療法がいまだ不十分であり、主原因であるAF認知度も低い現状がある。無症候性AF早期発見の取り組み第1期、第2期いずれにおいても、未治療AFを発見でき、多くの患者でCE予防の抗凝固療法を導入することができた。このような取り組みにより、AFを発見し(Find AF) 、CE予防のAF管理(Care AF)へとつなげることができる。