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日本病院学会 2014.7.3

 

Find AF project  ─簡易的に心房細動を検知する取り組み─

聖麗メモリアル病院 岡部 慎一

佐藤明善 田村康夫 藤山陽子 杉山耕一 布施仁智 鎌田健一

株式会社ネクシモ 山形 勝 片柳達也

 

【目的】

 心房細動(AF)は、心原性脳塞栓症(CE)の原因として重要な疾患であるが、予防のための抗凝固療法が充分に普及しているとは言いがたい。 また、一般外来において、無症候性AFの多くが見逃されている可能性があるため、簡易的にAFを検知するシステム・機器を開発し、AFの早期発見と抗凝固療法導入に取り組んだ。

【方法】

 1)Phase 1:不規則脈波(irregular heart beat: IHB)検出機能付きの自動血圧計(以下、IHB検出血圧計)を、外来患者診察前の脈不整スクリーニングに使用した。2011年12月から2013年11月までの2年間を調査期間とし、脈不整を検出した患者に対して積極的に心電図検査を行った。2)Phase 2:示指に装着したパルスオキシメーターからBluetooth通信で、Googleの7inchタブレットへ脈波情報を送信し、株式会社ネクシモと共同開発した脈波解析専用アプリ(pulse analyzer)によりAF判定をする。測定時間は1分以内である。AF判定アルゴリズムは、 10拍の脈波間隔の平均値(M)と標準偏差(SD)を求め、変動係数(Coefficient of variation 、CV=SD/M)の測定時間内平均(averaged CV、以下avCV)が0.07未満を正常、0.07以上を不整脈と判定。更に0.1以上をAFと判定した。2014年よりこの機器を臨床で試用した。

【結果】

 Phase 1によりAF新規診断あるいはAF再確認により新規に抗凝固療法が検討・導入されたAF患者は56人であった。外来通院患者の約0.2%にあたる。再来患者に多く発見され、定期通院患者でAFが見逃されていた。IHB検出血圧計であっても、慢性AF患者の25.7%でAFの脈不整を検知できなかった。Phase 2においては、pulse analyzerが感度、特異度ともに高い割合でAFを検知できることが分かった。

【結語】

 IHB検出血圧計導入により多くの無症候性AF患者を発見できたが、 精度に問題があった。 今回開発した簡易的AF検知機器は、無症候性AFの早期発見に有用であり、臨床応用での実効性を報告したい。

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