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日本脳神経外科学会総会 2012.10.17 

 

Find AF project     ─心房細動患者を発見する取り組み─

Find AF project     ─Efforts to find patients with atrial fibrillation─

聖麗メモリアル病院 岡部 慎一

佐藤明善、田村康夫、杉山耕一、布施仁智

 

【はじめに】

 心房細動を有する患者は近年増加傾向にあり、心原性脳塞栓症の発症予防が重要となる。生活習慣病のコントロールを行っている外来患者において、無症候性の心房細動を発見する取り組みを行っているので、有用性と課題につき報告する。

【対象と方法】

 外来患者が必ず診察前に測定する自動血圧計を、不規則脈波(irregular heart beat: IHB)検出機能付きの機器(以下、IHB検出血圧計)に変更した。血圧測定中の脈間隔に、平均の脈間隔から±25%以上差のある脈があった場合にIHBとして検出される。それを外来に2機設置し、脈不整を検出した患者あるいは看護師の触診で脈不整と判断された患者に対して積極的に心電図検査を行った。これとは別に抗凝固薬内服中の患者につき、脈不整の有無を調べた。2011年12月から2012年5月までの半年間に登録された499人を対象とした。延べ742回の測定機会があった。新規に心房細動が確認された患者については、循環器科へ紹介するとともに、原則的にCHADS2 スコア2点以上で抗凝固療法を開始した。

【結果】

 新規診断あるいは新規に抗凝固療法が開始された心房細動患者は19人であった。半年間に外来を受診した患者の0.1%にあたる。IHB検出血圧計であっても、心房細動の脈不整を検知できない場合も多い。25.7%で検出ができていなかった。9.4%においては、IHB検出血圧計、触診いずれも不整なしと判定された。この取り組みの副産物として、心房細動が証明されてないにもかかわらず、抗凝固薬を内服している患者を発見することができた。

【結論】

 一般外来において無症候性心房細動を発見し、抗凝固療法を開始できた。しかしながら、IHB検出血圧計のみでは不整なしと判定される場合も多く、見逃しの可能性がある。そのため触診も必要である。発作性心房細動については、発見が難しいため、できる限り多くの機会に脈不整を検出できる体制が必要である。

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